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メガベンチャーの共通点?キャッシュエンジン経営とは何か

サイバーエージェントのトップ営業マンで、SBI役員を経てトライフォートを創業された大竹さんの著書である「起業3年目までの教科書」を読んだ。独自の経営体系を述べている点が面白く、読みやすい文体であることも手伝い、すんなりと読み終わった。

 

起業3年目までの教科書 はじめてのキャッシュエンジン経営

起業3年目までの教科書 はじめてのキャッシュエンジン経営

 

 

 

手にしたきっかけは、書評の「サイバーエージェントユニクロ、ZOZOTOWN、京セラ、電通松下電器が実は、ある共通の起業法を用いていた。起業・独立を考えたらすぐに読むべき本。」が気になったため。

 

この「共通の起業法」とは「キャッシュエンジン型の事業を立ち上げる」こと を指している。

「キャッシュエンジン」とは「製品やサービスの当たりハズレから事業の売上影響を切り離すことが出来る、主に労働集約型の堅実な事業」を指している。こうした事業はキャッシュフローを順調に保ち、安定的に末永く会社を存続させることが可能である。

 

 また特徴的な点としては3つで、①マーケットの大きさ、②自身のマーケや営業努力で売上や利益を確実に伸ばせる、③初期投資が少ないを持つ

 

その結果、「地味ではあるが勝手に売れ続けていく」事業に育つ可能性が高い。ZOZOのやファーストリテーリング、ライブドア、サイバー、松下電器一風堂・・・の創業事業に触れながら、同様に立上げていると筆者は説く。いずれも読み応えのあるストーリーであった。

 

また、キャッシュエンジン型事業の効果としては、組織知を高め、組織力を上げることに「抜群に効く」作用がある。 こうして得られた「人財」「フリーキャッシュ」によって、第2、第3の事業創出投資を、積極的に行なうことが出来る 。仮に事業立ち上げに失敗したとしても、キャッシュエンジン型事業に振り戻すことが可能であり、リスクヘッジされる。

 

筋の良い事業を伸ばすためには、人材を雇い、優秀なプレイヤーに育て上げ、成果を最大化していくプロセスを踏むことが必要となる。 「採用→育成→最大化」の流れを効率的に反復することで会社は成長する。

 

採用や育成、最大化における各工程のノウハウについて、筆者の失敗談や経験を踏まえて、事細かに記載されている。

 

感じたこととしては、売れなかった営業時代やマネジメントで大失敗を数々としてきたこともあり「超人では無い」という。自称「超人じゃない方」であっても、事業を成功させる秘訣はあるということで、参考になる部分が多かった。

私から見ればただの超人でしかないな、と思う部分が多かったが・・・ 笑

 

採用のTipsでは「採用は一緒に働きたいかどうか」「会社や理念に馴染むかどうか」を、決め手に採用しているという。この理念はリクルートやサイバーも同様の傾向のように感じる。「誰をバスにのせるか」が極めて重要であり、どれだけ採用にパワーを割き、双方が納得度高く獲得できるかが焦点になる。

 

僕自身も採用リーダーを務めた際の判断軸は、まさにこの軸で判断していた。あとは「活躍しているイメージがあるか」とか、「目の輝きがあるか」笑

 

 著者は自身の実体験もさることながら、様々なケースや脚注を用いながら、独自の経営理論をわかりやすく体系化している。熱心な読書家であり、MBAホルダーということで、「歴史上の成功と失敗」から学び、実践されている経営者なのだと感じた。

 

読書からそして社外での学びから、日々の業務や仕事に向き合う哲学を養っていきたいと思う。